イノベーション推進部 研究員
村井 友利乃 Yurino MURAI
1.地方への外国人観光客の増加
2019年の訪日外客数は過去最高の3,188万人となり、増加を続けています。近年、訪日旅行での訪問地域は認知度の高い都市部から、まだ知られていない魅力のある地方部へ広がっています。しかし、これまで外国人観光客の受け入れが少なかった地方では、インバウンド向けにつくられた観光コンテンツがまだまだ少なく、受け入れ体制も十分に整っていない現状があります。
2.山陰でのインバウンドコンテンツ開発
エブリプランでは、中国経済産業局の「島根半島・宍道湖中海ジオパークにおけるインバウンド誘客を核としたサイクリングツーリズムによる消費拡大事業」で、欧米豪出身のサイクリスト等を招聘した2泊3日のモニターツアーを実施し、該当エリアでのモデルルート開発に取り組みました。
このエリアには出雲大社をはじめとする歴史や文化の観光資源が多数あり、風光明媚な景色の中を、ジオパークの地形や自然を体感しながらサイクリングできる環境がありますが、外国人からの認知度は低く、簡単にこのエリアを楽しむことのできる仕組みも整っていませんでした。今回、地域のキープレーヤーを巻き込みモデルルートを開発し、商品造成につなげることができ、今後の送客も見込まれます。
欧米豪富裕層マーケットでは、訪日旅行10日間で100万円を超えるサイクリング旅行商品が多数設定されています。地域へのインバウンド効果という意味では、量だけではなく質も重要です。今後、質の高い観光の提供が可能となり、より地域に関心を持っていただける方に訪問いただくことができれば、よい循環が期待できます。
3.山陰でのインバウンド人材育成の取り組み
また、山陰地域では、山陰インバウンド機構がインバウンド人材の育成プログラムを2017年から3年連続で実施しており、エブリプランとしても2019年度事業の企画・運営に関わりました。インバウンドの基礎情報の提供や、インバウンドビジネスの立ち上げのノウハウを提供など受講生のレベルに合わせた複数のプログラムを実施しました。こうした取り組みにより地域の人材が育っていくことで、地域の観光の質も上がっていきます。
4.観光地域づくり
インバウンドから、地域が享受できるものはたくさんあります。経済的な利益だけではなく、来訪者の地域への理解・関心を深め、地域との関りを生み出し、外からの視点で見られることで地域の人は土地の魅力を再認識でき、地域への愛着も生み出します。エブリプランはインバウンド関連業務を通じて地域の可能性を引き出すことを目指します。