情報 デジタル 自治体DX

自治体DXで目指すもの

令和3年9月にデジタル庁が設置され、さらに令和3年12月にはデジタル社会の実現に向けた重点計画が閣議決定されました。こうした動きの中で、弊社でも自治体DX(Digital Transformation)に関するご相談を受けたり、ご提案をしたりする機会が増えています。自治体DXとはどのようなものか、整理してみたいと思います。

自治体DX推進計画

令和2年12月に自治体DX推進計画が策定されました。自治体全体として足並みを揃えて情報システムの標準化・共通化などデジタル社会構築に向けた各施策を進めていくために、自治体が取り組むべき事項が示されています。

自治体DX推進計画で示されている重点取組事項は次のとおりです。

○ 自治体の情報システムの標準化・共通化
○ マイナンバーカードの普及促進
○ 行政手続のオンライン化
○ AI・RPAの利用推進
○ テレワークの推進
○ セキュリティ対策の徹底

また、自治体DXの取組とあわせて取り組むべき事項として、次の2つが示されています。

○ 地域社会のデジタル化
○ デジタルデバイド対策

また、令和3年7月には総務省から自治体DX推進手順書も示されており、この手順書を参考にDXを進めていくことができます。

 
 

そもそもDXとは

自治体DXを考えるにあたって、そもそもDXとはどういうものなのかを復習しておきましょう。デジタル技術・情報技術によって、ビジネスや産業、社会の仕組みに構造的な変化(変革)をもたらすこととされています。これまでの情報化では、既存のプロセスや仕組みを大きく変えないまま、情報通信技術による効率化を目指すことが多かったと思いますが、DXではプロセスや仕組みそのものを変えていきます。どのような制度や仕組みがよいかをあらかじめデザインし、その実現のための情報技術を用いるアプローチも重要ですが、それだけでなく、デジタル化をしてみたら今までできなかったことができるようになったり、よりよい仕組みになったりするということも出てくることを期待し、いろいろ試すというアプローチも必要になってくると思います。

「自治体DX」で何を目指すか

DXがどのようなものかをふまえて、自治体DXについて考えてみます。

自治体DX推進計画の重点取組項目は、市役所や町役場の中の情報化の延長として考えられるものが多い印象ですが、まずは地域差が出ないようにデジタル化を進め、変革を起こす土台を整備するということだと思われます。重点取組項目については着実に、しっかり取り組むことが大切でしょう。

こうした最新技術の導入だけにとどまらず、最新技術を使って何を実現するかをもっと大切にすべきと考えます。自治体DX推進計画の「自治体DXの取組とあわせて取り組むべき事項」の2つ、地域社会のデジタル化、デジタルデバイド対策を自治体の状況にあわせて検討し、重点取組項目と関連付けて進めていくことが重要です。

【地域社会のデジタル化】

人口減少が進むなかで、地域の暮らしや自治体のサービスの質を落とさないようにするためには、情報通信技術をうまく使っていくことが必要になってきます。また、安心・安全の確保、地理的な制約を受けない働き方など、デジタル化により実現できることを拡げていくことも大切です。

効率化などの手段としてのデジタル化に加えて、デジタル化によって仕組みを変えていくことも含めて、地域に合ったDXの取り組みを進めていくべきと考えます。デジタルツールの使い方を理解したり、デジタル化による利便性を理解したりすることを通じて地域社会のデジタル化を進めていくことになります。

【デジタルデバイド対策】

自治体DXの推進においては、デジタル技術・情報技術を前提にすることで取り残される人が出てしまうことがないようにすることが求められます。デジタル化による変革を進めつつ、デジタル化に対応できない人に対して代替手段を設定するなどの配慮が必要になります。DXで恩恵を受けるのは、地域で暮らす人、地域で働く人であるべきです。デジタルツールの導入だけにならないようにしていくことが大切でしょう。

 
 

自治体DX推進計画策定支援

自治体DXの推進にあたっては、情報通信技術・デジタル技術の技術論にならないよう、一つ上の視点で自治体DXを考えていくことが大切と考えます。

弊社の自治体DX推進計画策定支援では、まずはデジタル化で実現したいこと、目指すべき姿を関係者で共有することを大切にします。地域の医療や交通、教育、産業などが、5~10年後にどうなっているか、どうなっていてほしいかを具体化していきます。また、将来像を実現する過程において、情報通信技術をどのように活用することができるか、情報化・デジタル化により、どのようなワクワクする取り組みができるかなどについて、関係者の納得感のある計画をまとめていきます。

また、デジタルデバイド対策を含め、DX推進計画を地域で暮らす人、地域で働く人にも知ってもらうことも大切です。情報発信や関係者の意見の反映においても、地域特性にあった方法で進めていけるよう、様々な提案をさせていただきます。

自治体DX推進計画の策定とあわせて、将来像実現のステップを考えてみませんか。