〇公共施設の老朽化がますます深刻化
平成26年度頃から、地方公共団体においては厳しい財政状況が続く中で、人口減少等により公共施設等の利用需要が変化していくことが予想されました。そのため、早急に老朽化が進む公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置を実現することが必要になりました。このような背景をもとに、平成31年3月31日現在で、99.8%にあたる1,785団体で公共施設等総合管理計画が策定され、公共施設等を総合的かつ計画的に管理を推進に取組んでいます。
現在は、その計画に基づく個別施設計画を策定し、具体的な取組を進めていく段階に入ってきていますが、なかなか個別の取組みが進んでいないのが実情です。
この間も施設の老朽化が進行し、維持管理費が増大しつつあり、早急に個別の取扱い方針を定め対処することが急務になっています。
〇公共施設等のあり方検討が課題
道路などのインフラ施設や学校施設等においては個別計画が策定され、長寿命化等の対策が進みつつある市町村もありますが、一方でなかなか進まないのが観光関連施設や交流施設です。また、廃止された小学校や公民館等の利活用が課題になっている市町村もあります。
現在、観光関連施設等の多くは、指定管理者によって管理・運営されていますが、施設の老朽化などにより維持修繕費が増大する他、利用の低迷で採算性が悪化し、指定管理料も増大する傾向があります。さらに、市町村合併以前に建設された施設が多く、老朽化に加え、重複している機能や施設も少なくない状況であり、今後のあり方を決めなければならない時期に来ています。
一方で、これらの施設があることで、外貨を稼いだり、消費を促したりと地域への経済波及や雇用を生み出している一面もあります。
こうした背景のもとで、エブリプランにおいても近年観光関連施設の今後のあり方について検討する機会が増えてきています。
〇あり方検討のプロセス
①将来の維持修繕費の想定
まず必要なのが将来の維持修繕費の想定です。各施設において劣化や老朽化の状態を調べる健全度調査を行い、維持修繕費がどの程度かかるか想定を行います。長く利用してきている施設ではこれまでの更新履歴から推測する方法もあります。
②経営状況の分析
各施設の収益と維持管理費のバランスなど経営状況の分析が必要です。観光関連施設は複合施設の場合があるので、施設全体での経営分析に加え部門ごとの経営分析も行い、不採算部門の洗い出しと改善の可能性(採算性の向上)を検討する必要があります。
③将来の需要見込みや経済波及効果の分析
その施設があることで、現在どの程度の経済波及効果があるかを想定するとともに、需要見込みに基づく将来の経済波及効果や雇用効果の算定を行います。
④総合的な検討
最後に、将来発生する経費と経済波及効果などを比較、施設の更新・統廃合・長寿命化などの今後のあり方を検討し、地方公共団体にとって最善の方法を選択していくことが重要となります。合併以前からの施設で機能が重複し、非効率な状態になっている地域では、関連施設を一体的に調査、検討することが望ましいと考えます。
課題をお抱えの市町村の方は、エブリプランにお気軽にご相談ください。